HbA1cが基準値でも安心できません。空腹時の血糖値が低いと食後高血糖となる場合が出てくるからです。
食後高血糖って?
食後2時間たってもまだ血糖値が下がらず140㎎/dl以上ある状態を食後高血糖といいます。
インスリンが正常に働いていれば食事で増えた血糖は食後2時間もたてば140㎎/dl未満に減っています。しかし、それが上手く働かないといつまでも血糖値が高いままとなります。
食後高血糖がキケンな理由
- 心血管疾患死亡リスクが高くなる
- 糖尿病初期で起こるため見過ごされやすい
- HbA1cに食後高血糖は反映され難い
1999年の調査によると、食後高血糖の人は正常な人(食後2時間血糖値140mg/dl未満)に比べ心血管疾患による死亡リスクが高いことが判明しました。一方、空腹時の血糖値が高い人の場合は正常な人と同程度でした。
これはHbA1cが乱高下を繰り返すため、脆くなった血管に負担をかけ易いからだと考えられます。実際、2010年9月東京女子医大糖尿病センターの坊内良太郎氏は、2型糖尿病患者のうちHbA1cの変動が大きい患者は小さい患者よりも心血管疾患のリスクが著しく大きいことを明らかにしました。
フランスのモンペリエ大学の研究によると、糖尿病初期のHbA1cが7.0%前後で食後血糖値の関与が大きく、HbA1cが9%以上では食前血糖値のほうが関与が大きいとわかりました。
国内の最新研究でも、HbA1cが7.3%未満では食後血糖値が約70%も影響しているの対し空腹時血糖値の影響は30%にも満たないこと、一方HbA1c9.3%以上では食後血糖値は約40%しか影響していないのに対し、空腹時血糖値は60%近くに達していると報告されています。
HbA1cは直近1~2か月間の血糖の平均値。食後に血糖値が急激に上がっても、空腹時の血糖値が低ければ、結果として問題ない数値となります。
そのためHbA1cが正常であっても食後高血糖である人が少なからずいます。
HbA1cが基準値でも空腹時に低血糖になる理由とは?
健康ならば食後に増えた血糖はインスリンの働きにより直ちに体の細胞に取りこまれたり、肝臓にストックされたりして適切に処理されます。
ところがインスリンの働きが弱いとうまく処理されず、血糖が減りません。
しかも弱った働きを補おうと食前にもインスリンが分泌されて、空腹時に低血糖となってしまうのです。
※次の図はインスリンの働きが弱いと低血糖になることを表しています。
空腹時低血糖は、HbA1cが基準値であっても食後の高血糖(140mg/dl以上)を招きます。
では、空腹時の血糖値がどのくらいであれば食後に140㎎/dlに達するのでしょうか。具体的に算出したいと思います。
各年代のHbA1cの基準値から食後高血糖を推測した結果
食後血糖値を推測する式:
HbA1c+(※HbA1c-空腹時血糖値)=食後血糖値
※HbA1cは血糖値換算した数値(28.7×HbA1c(%)-46.7)を当てはめてください。
- 20代
- 30代
- 40代
- 50代
- 60代
20代のヘモグロビンa1c基準値は男性5.3%、女性5.2%です。そのため、空腹時血糖値が70mgで食後高血糖(140mg)に達します。
70mgを下回るようであれば、空腹時に食事を取ると血糖値が急上昇し、その後に急降下する乱高下型の低血糖症の可能性があります。
気分の変化が激しく、お腹が減るとイライラしてついスナック菓子や甘いものを食べてしまうならこのタイプかもしれません。病院に行って詳しく調べてもらうことをおすすめします。
30代のヘモグロビンa1c基準値は男女とも5.4%。そのため、空腹時血糖値が75mgで食後高血糖に達します。
40代のヘモグロビンa1c基準値は、男性5.4%女性5.5%です。そのため、空腹時血糖値が男性75mg、女性80mgで食後高血糖に達します。
50代のHbA1c基準値は男性で5.8%、女性で5.7%です。そのため空腹時血糖値が90mgで食後高血糖に達します。
60代のヘモグロビンa1c基準値は男性6.0%、女性5.9%です。そのため空腹時血糖値が99mgで食後高血糖に達します。これは各年代の中で最も高いで数値です。加齢の影響を考えずに、若いときと同じような食生活なら要注意です。
食後高血糖かどうかを詳しく知るためにブドウ糖負荷試験を受けよう
もし、少しでも疑わしければ、ブドウ糖負荷試験を受けてみましょう。
空腹時血糖値を測った後ブドウ糖溶液を飲んで、1時間後、2時間後の血糖値を測定。HbA1c値には反映されない食後高血糖が判定できます。
食後2時間の血糖値による判定基準は、
- 200mg/dl以上・・・糖尿病
- 200mg/dl未満~140mg/dl以上・・・境界型糖尿病
- 140mg/dl未満・・・正常
空腹時血糖値による判定基準は、
- 126mg/dlmg以上・・・糖尿病
- 126mg/dl未満~110mg/dl以上・・・境界型糖尿病
- 110mg/dl未満…正常
大事なのは空腹時血糖値が正常であっても、食後2時間の血糖値が140mg/dl以上なら食後高血糖であるということ。
食後高血糖は気づきにくいため食後にウォーキングしたり、食事を食べる順番に気をつけるなどして血糖値を上げ過ぎない対策をとることが大切です。
まとめ
- 食後高血糖はHbA1cに反映されないのでブドウ糖負荷試験で調べる
- 食後2時間血糖値が140mg/dl以上なら食後高血糖
- 食後高血糖は初期の糖尿病、境界型糖尿病に多い
- 食後高血糖は心血管疾患の死亡リスクが高い
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