HbA1cを下げるために!食事療法のポイントは糖質制限
糖尿病の食事療法とは、
- 医師が算出した1日の摂取エネルギー量にのっとり、
- 各栄養素をバランスよく摂っていくものです。
なかでも大切なのが糖質の代わりにタンパク質を多く摂ることです。タンパク質の何割かが糖に変わるため(糖質を摂らなくても)心配はいりません。しかも変換スピードがゆっくりなので血糖値が上がりにくいです。
また、野菜や海藻、豆類を必ず一緒に食べたり、サラダ油ではなくオリーブ油を使う、魚は青魚、肉は脂肪分の少ないものを選ぶ、といった工夫も大事です。
HbA1cを下げるための切り札!医師の指導のもと『糖質制限食』も検討する
糖質制限を推し進めたものに近年話題の『糖質制限食』があります。
『糖質制限食』とは何か?
自らも糖尿病であるドクター江部康二先生が提唱した食事療法で、糖質(炭水化物)以外は何をどのように食べても基本OK。ステーキや焼き肉、炒め物や揚げ物だって食べられる、いわば「主食を抜いておかずばかり食べる」食事療法です。
具体的には下記10項目を守ります。
糖質制限食10か条
一、魚貝・肉・豆腐・納豆・チーズなどタンパク質や脂質が主成分の食品はしっかり食べてよい。
二、糖質特に白パン・白米・麺類及び菓子・白砂糖など精製糖質の摂取は極力控える。
三、主食を摂るときは未精製の穀物が好ましい(玄米、全粒粉のパンなど)
四、飲料は牛乳・果汁は飲まず、成分未調整豆乳はOK。水、番茶、麦茶、ほうじ茶もOK。
五、 糖質含有量の少ない野菜・海草・茸類は適量OK。果物は少量にとどめる。
六、オリーブオイルや魚油(EPA、DHA)は積極的に摂り、リノール酸を減らす。
七、マヨネーズ(砂糖無しのもの)やバターもOK。
八、お酒は蒸留酒(焼酎、ウィスキーなど)はOK、醸造酒(ビール、日本酒、など)は控える。
九、 間食やおつまみはチーズ類やナッツ類を中心に適量摂る。菓子類、ドライフルーツは不可。
十、 できる限り化学合成添加物の入っていない安全な食品を選ぶ。
出典:江部ドクターのブログ
糖質制限食には次の3パターンがあります。
- 『スーパー糖質制限』…1日三食とも主食抜き
- 『スタンダード糖質制限』…夕食と朝か昼どちらかの、1日二食主食抜き
- 『プチ糖質制限』…夕食だけ主食抜き
実際『スーパー糖質制限』を2か月間行った結果が下記のように実証されています。
- HbA1c7.0%→6.0%に減少
- 空腹時血糖値142→130に低下
『糖質制限食』の注意点
『糖質制限食』は過激なので次のような注意点があります。
- HbA1cが下がりすぎる、低血糖になる心配
- 肥満や高血圧には適さない
- 腎症や肝硬変には適さない
- 栄養バランスが良くない
特にインスリン療法など血糖降下治療を受けているかたは低血糖になる恐れがあります。必ず主治医と相談のうえ実施してください。
また糖質を抜く分、脂質を多く摂るため、肥満や高血圧の人には向いていません。高脂質症の恐れがあります。
同様に高タンパクとなるため腎機能の弱っている人にも向いていません。タンパク質の多量摂取は腎臓に負担をかけるからです。
肝臓のグリコーゲンをブドウ糖に変えて血中に放出する力(糖新生といいます)が落ちている肝硬変の人にも適してません。
HbA1cが高い人はもともと肥満や高血圧、あるいは腎症を併発している可能性があるため注意が必要です。
本来、糖尿病の食事療法は栄養バランスのとれた食事が目的です。確かに糖質である炭水化物が食後血糖値を上昇させてしまうことは事実ですが、全面的に抜いたのではバランスを欠きます。
そのため日本糖尿病学会ではドクター江部の『糖質制限食』を推奨していません。主食をできるだけ控える、代替品を摂るなど、マイルドに取り込むのがいいのではないでしょうか?
『糖質制限食』を実践しているのにHbA1cが下がらない!その理由は?
糖質制限食で起こる糖新生が原因
食事によって糖質が得られないと、タンパク質や体内の筋肉、脂肪から糖分を生成する、糖新生という現象が起こります。この糖新生が長い間継続して発生するのでかえってHbA1cが下がらないと考えられます。
どうして糖質制限で糖新生が起こるのか?
【可能性1:1型糖尿病】
すい臓の機能が壊れているためインスリンが分泌されない1型糖尿病の場合、タンパク質による糖新生が進みます。ただし1型でも膵臓のβ細胞が少し残っていれば糖質制限食の効果があるようです。いずれにせよ1型糖尿病の場合は主治医に相談してください。
【可能性2:過度のストレス】
強いストレスにさらされると糖新生を発生させるコルチゾールというホルモンが分泌されます。ストレスと戦うためエネルギー源である糖分が必要だからです。そのためまずはストレスの原因を取り除くことが大切です。
【可能性3:クッシング症候群】
上記の理由以外に、コルチゾールが過剰分泌される病気があります。クッシング症候群といって、腫瘍(癌)が脳下垂体や肺、膵臓等にできることで起きる病気です。
身体の真ん中が太くなる形の肥満やムーンフェイス、多毛やニキビ、お腹に妊娠線のようなスジが出たりするのが特徴で、うつ状態や免疫力の低下を招き、糖尿病など生活習慣病に罹患します。
疑わしい場合は早く受診して原因の特定を行ってください。
まとめ
- 糖質は食後血糖値を上昇させる唯一の栄養素。だから摂取制限が必要
- 主食抜き食事療法『糖質制限食』を始めるには主治医と相談を
- 糖質制限してもHbA1cが下がらない理由は、
- 1型糖尿病で残存インスリンがゼロだから
- 過度のストレスによりコルチゾールが過剰分泌されるから
- クッシング症候群によりコルチゾールが過剰分泌されるから
です。
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漢方サポニンを試したい方はどうぞ。糖質は「炭水化物ー食物繊維」です。だったら、食物繊維をいっぱい取ればよいという話です。(サプリなのでその効果は保証されていません)